大腸と胃の話

大腸の話

  • 01 大腸がんが増えてるってホント?
    大腸がんで亡くなる人は増えています。食生活の欧米化や人口の高齢化が要因と考えられています。女性では多くのがんの中で大腸がんによる死亡が第1位となっています。
    悪性新生物の主な部位別死亡率(人口10万対)の年次推移
  • 02 大腸がんではどんな症状が出る?
    出血・便通異常(便秘や下痢)・腹痛・貧血などが代表的ですが、これといった症状がないことが多いです。特に早期がんではなお さらです。たまたま便潜血(べんせんけつ)テストが陽 けたらがんが見つかった、というケースも多いです。
    大腸がんではどんな症状が出る?
  • 03 おしりから出血があったら
    おしりからの出血は、肛門出血、血便、粘血便、下血などいろんなことばで表現することができます。排便後、紙に血が付く、便器が真っ赤になる、便に赤いものが付いている、粘液や黒いものが混じる、あるいはタール状の便など、出血の起こる部位、病気の種類によって様ざまです。痔疾(いぼ痔や切れ痔)、潰瘍性大腸炎などの大腸炎、大腸腫瘍(大腸がん)などで起こることがあります。タール状の便となると胃や十二指腸の潰瘍からの出血も考えないといけません。
  • 04 便潜血テストが陽性になったら
    一度でも陽性になったら、必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。陽性の人が大腸内視鏡検査を受けると約半分でポリープが見つかり、約7%の方で大腸がんが見つかるというデータがあります。陽性になった人が、もう一度便潜血テストを受けてマイナスになったら安心、ということは絶対にしてはいけません。進行がんがあっても10~20%は便潜血がマイナスになるからです。
  • 05 大腸内視鏡検査ってつらい?
    ヒトの大腸はほぼ身長くらいの長さがあります。それが折り畳まれてお腹の中に入っています。腸が無理に伸ばされると痛みとして感じるので、腸を伸ばさないように、むしろ腸を折り畳んでスコープを進めていくという技術で、つらくない検査が可能になります。これに緊張を取るために鎮静剤を使い、体型や性別によって使う内視鏡機種を変えるといった工夫を当院では行っています。
    大腸がんは多くのがんの中では比較的予後の良いがんとされています。そして早期発見できればお腹を切らずに内視鏡で治療もできます。さらにポリープの段階で切除してしまうともっと安心です。おしりから出血があったり、お腹の調子や便通で気になることがあれば積極的に大腸内視鏡検査を受けましょう。

胃の話

  • 01 ピロリ菌とは
    ピロリ菌はヒトの胃粘膜にすみつく細菌で、正式にはヘリコバクター・ピロリといいます。これまで強酸の胃の中には細菌は生息できないと考えられていました。しかし、ピロリ菌は、その独特の性質を使 って強酸から身を守る環境を作り、胃の中にすみつきます。
    ピロリ菌はほとんどが乳幼児期に感染します。感染が持続することで萎縮性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃のリンパ腫などを引き起こすことがあります。萎縮性胃炎は胃がんの発生母地と考えられており、ピロリ菌が胃がんの危険因子とされる理由になっています。また、ピロリ菌感染が胃以外のいくつかの病気と関わっていることもわかっています。
    ピロリ菌とは
  • 02 ピロリ菌除菌のメリットは?
    胃潰瘍・十二指腸潰瘍の一番の問題は非常に高い頻度で再発するいうことです。ほとんどの胃・十二指腸潰瘍の患者さんの胃の中にピロリ菌がいることが分かっており、ピロリ菌を除菌することで潰瘍の再発が著明に抑えられます。
    また、除菌によって、萎縮性胃炎がある程度改善することもわかっており、胃がんのリスクが減少するのではないかと期待されています。ピロリ菌除菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性胃炎のある人で保険適用が認められています。
    ピロリ菌除菌のメリットは?
  • 03 胃がんの症状って
    多くのがんと同様、特異的な症状はありません。潰瘍を伴う場合には、早期がんでも上腹部痛が起こることがありますが、多くは無症状です。進行がんで通りがせまくなって食べられなくなるとか、出血が続くために貧血などの症状が出ることはあります。慢性胃炎などによる症状で胃カメラを行って、たまたまがんが見つかるということが多いです。お腹の気になる症状があれば胃カメラを受けておきましょう。
  • 04 胃カメラはつらい?
    のどの反射でオエッとなることが辛さの大きな原因です。細いカメラを鼻から挿入する径鼻内視鏡や、のどの麻酔を工夫したり、鎮静剤を使うことでつらくない検査が可能です。